(CX5)
私は単調な行程を紛らわすためラジオを聴いていた。
ラジオはリレー小説的な短編集を朗読していた。
そのそぐわない内容はこれを選択した番組の企画者を想像するにはほどよい物だった。
それは、朝の9時から夜のバーの話である。
そして章間には「カロン」とグラス中の氷が位置を変えるエフェクトが入るのだ。
その内容は誠実な青年と悲観的な女性の微妙なからみだった。
私はその内容より、その内容をこの時間に放送するセンスが楽しかった。
おかげで長く続く厳しい坂を時間を忘れて踏破することが出来た。
とにかく目的地である熊野神社に到着だ。
この長い雪の道程を乗り切り昼食と行きたかったのだが、いまだ10時前である。
早い到着に時間を持て余してしまう。
そして熊野神社を参拝する。
熊野のベンチには先客が積っていて私が座る余地がないようだ。
そして見晴らし台に「とてとて」と移動してみる。
しかしながら昼食にはまだ早い、景色は一期一会。
冬で山はなおさらだ。
------- 続く -------
今回は小説風でお送りしました。
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